映画「100日後に死ぬワニ」を観た。そこにあったのは"無"のち”苦痛”だった。
お久しぶりです。いためしです。 まあまあバズったプペルの感想記事以来の更新です。
こいつ炎上狙いのクソ映画のプレビューだけじゃねえか!!!と思われるかもしれないですが、
「なんか燃えてるからもっと燃やしたろ!」的な意図は全く無くて、ちゃんとTwitterでリアルタイムで1話から100話を楽しんで、特にこの作品や作者のアンチとかではないスタンスの者からしてもかなりしんどい映画でしたという報告です。
アマプラで無料で観られるようになったよ!
金払って映画館で観た俺に謝ってほしいね!!!
Amazon.co.jp: 100日間生きたワニを観る | Prime Video
自己紹介は前回の記事から抜粋。よろしくおねがいします。
まず、お前誰やねんってとこから話すと、映画はそこそこ好きだけど月1~2くらいのペースくらいでしか見てない一般男性(28)です。
映画の手法とかもそこまで知りません。ちょっと映画見てるくらいのオタクの感想として読んでくれるといいと思います。
はじめに
そもそもこの作品がなんでこんな燃えているかというと、100日目にワニが死んで物語が完結した途端に、「ワニ公式アカウント開設!!」「いきものがかりとのコラボムービー発表!!」「書籍化&映画化決定!!!」「ワニグッズ発売!!!!」と情緒のコンテンツだったのに情緒のなさすぎるマネタイズを開始したことから反感を買ってしまったという背景があります。
最終日の流れはこんな感じでした。
「100日後に死ぬワニ」
— きくちゆうき (@yuukikikuchi) 2020年3月20日
100日目 pic.twitter.com/r0Idn9I7mR
生きる。https://t.co/fvfunOYJqD pic.twitter.com/usgNEMuqXV
— きくちゆうき (@yuukikikuchi) 2020年3月20日
— 100日後に死ぬワニ 公式 (@100waniOfficial) 2020年3月20日
https://t.co/zq7K0FbjoX pic.twitter.com/JeuKFdSiRi
— 100日後に死ぬワニ 公式 (@100waniOfficial) 2020年3月20日
「追悼!!」 じゃねえが・・・
ワニは映画でエンドロールが流れるかと思いきや急にCMが流れ出したって感じ
— いためし ⛩ (@ita_me_shi) 2020年3月20日
感傷に浸る余韻をくれ余韻を
当時の自分もまあまあ怒ってた
でもこの『100日後に死ぬワニ』に関しては、巷で言われているように自分もTwitterで1日目から100日目まで「こっからどう死ぬんだこれ!」と毎日楽しんでいたし、間違いなくあの時代のTwitterの話題の中心点だったし、最終日には「まだ更新されねえけど!!」や「ワニ死んだって!!」とTLでも現実でも最高潮の状態で100日目を迎え、とても素晴らしい作品だったと思っています。
この事実は揺るがないと思っていました。
この映画を観るまでは。
以下、毎度ながらこの記事はネタバレを大いに含みます。
まだ100ワニ原作読んでない方や、「映画を観てみようかな」と思ってる方は読まないほうが良いです。
あとこの記事を読んで作品を観た気になってワニ映画を批判したい方は読まないでください。
前編 -100日間生きたワニ-
まずこの映画、『100日後に死ぬワニ』ではなく『100日間生きたワニ』になっています。
もうこの時点で不安でしたが、「まあ漫画楽しんだし、話題になってるからお布施のつもりで・・・」と観に行ったら案の定不安は的中してしまいました。
映画が始まり、映し出される桜並木。
花見の準備をし、なかなか来ないワニを待つ一同。
待ちきれずにバイクに乗りワニを迎えに行くネズミ。
えっこれ最終日じゃん・・・
というわけでひよこ(CV.伊藤美来)を助けたワニが車に轢かれたところから100日前に戻ってお話がスタート。
そう この映画、起承転結ではなく結起承転の構成。
内容については原作漫画をちょいちょい端折りながら上手くまとめた感じ。
結構突っ込みどころはあるけど、まあ原作ありのアニメ映画ってそういう着地が多いしこの辺は仕方ないんじゃないでしょうか。
紙芝居とか揶揄してる人いたけど全然そんな事無く、ちゃんとアニメーション映画として無難によくできてました。
というか紙芝居は完全に言いがかり。絶対この映画見てないだろ・・・・
たださ、淡々と死に向かって行く本編に一切ワクワクしないんですよね。
もう冒頭でどうやって死ぬか分かってるし。
話に起伏が一切ない。ただ目の前に”無”が流れ続けている感じ。正直観ていて面白いと思わなかった。
言っちゃ悪いけど、あんなにボロクソに言ったプペルの方がしっかり緩急と盛り上がりがあって映画としては面白かった。誇張抜きで。
あとは映像作品と日にちの経過の表現の相性が致命的に悪いこともあって”100日間”が定期的に映る「○月」の表示と季節の移ろいの表現くらいでしか感じられなかった。
”100日”である必要がないんだよね。これについては最後で話します。
以上、前半パートを振り返ると「ワニたちの日常を映画化」というスタンスの映画でした。
Twitterで「100日掛けてワニがどう死ぬのか」というコンテンツを楽んでいたのに、映画では「死んだワニが100日間どう生きたか」という描写。
完全に推測なんだけど、思い返せばユーザーは100日間を掛けてどう話をまとめるかという構造に惹かれて「100日後に死ぬワニ」が気になってバズったのであって、
「100日後に死ぬワニ」のストーリーや登場するキャラクターに対しては特別な感情は無かったんじゃないかな。
100ワニのキャラグッズとか展開がコケたのもここにあると思う。
ユーザーが求めているものと供給する側の生産物が完全にミスマッチしてしまっている。
映画もそんなミスマッチをひたすら煮詰めた感じの作品。
でも正直こうなることは映像化する以上わかりきっていたことでもあって、
問題はここじゃなくて、ワニが死んだ後のオリジナルストーリーにある。
後編-ワニの死後編-
ワニの死後、100日経過してワニの死を通してちょっと距離を置いてしまう一同。
そこに引っ越してきたオリジナルキャラクターのカエルくん。
こいつの存在がかなりしんどい。
簡単に説明すると、”距離感が分からないアグロ系コミュ障”。
ワニの友人たちと色々あって、紹介してもらったバイク屋の店員のネズミに対して「つか俺ら同い年っしょ?じゃあこっからタメ語でいいよね!」
いや、お前初対面の客やぞ!!!
僕含め100ワニが連載されたTwitterに住んでるオタクってさ、正直こういうタイプ大嫌いなんですよね。(クソデカ主語)
もう見てるだけでキツくてしょうがなかった。
他のキャラにも距離感を間違えまくって明確に避けられる。ひたすらしんどい。
結局カエルくんはワニが最初働いていた喫茶店でバイトするんだけど、こっちでも馴れ馴れしくバイトちゃんに猛アプローチ。かなりしつこく誘いまくって毎度断られる。
時が進み、バイトちゃんに告るシーン。
結局振られるんですが(当たり前)、それを聞いていたセンパイとの会話
カエル「あと1週間でやめちゃうって言ってたから……」
いや、お前がしつこくアプローチするせいで居づらくなってバイトをしぶしぶ辞めるんじゃねえの????
とにかくカエルの存在が異質すぎて観るのが辛かった。
俺はいつの間にホラー映画を観にきたんだ?
まだワニが死ぬまでは分かっていることが淡々と進むから”無”で済んでいたんだけど、こいつが現れてからは”苦痛”でしかなかった。
こんなに早く終わってほしいと思った映画は初だよ。
そして振られたことで落ち込み、ネズミのバイト先で涙するシーン。
「実は引っ越す前に親友を亡くして……新しい街でやり直せるかなって……」
(いやいや…お前のそのアグロコミュ障ぶりじゃあどのみち無理だよ……)
それを見たネズミはカエルに心を開き、ワニの死を乗り越えたみんなと仲良くなってはっぴーえんど☆
めでたしめでたし☆
前半40分(体感)ではワニと周りが親友になっていく過程の100日間を丁寧に描いていたのに、後半の20分(体感)はワニの死後急に出てきた距離感バグったカエルが周りに迷惑かけまくった挙句、急速にご都合的に仲良くなった。
(しかも17分はひたすら周りが「なんだこいつ…」って時間で、仲良くなったのは最後3分くらいだから尚更ひどい)
正直100ワニを粉砕した商業主義のメタファーか??と思うくらいの邪悪で気持ち悪かったです。今までの時間なんだったの?ワニの死ってそんな簡単に忘れられるものなの?
カエルの存在を無視したとしても、周りが「ワニの死」を乗り越えて成長していくとかそういうのがほぼ描かれなくて原作がまあまあ好きでもしんどかった時間でした。(ネズミがプロレーサー目指す描写はあったけどね)
なんか急に現れた無礼なカエルがスッっとワニのポジションに収まった感じ。
NTR物でももっと丁寧に描くわ!!!
総括
公式から提示された100ワニ続編としての「ワニが死んだ100日後」の時間があまりにも”苦痛”でつらすぎてしんどすぎた映画でした。
正直、これが公式としての続編なんだ・・・ってショックでした。
以上。
本筋と関係ない細かいところでは、死後の話でセンパイがワニと観る約束していた映画を一人で観に行くシーンがあって、「そうだよこれこれ!!」って思ったんですが、映画館に入るシーンと出たシーンのみで、”一人だけど映画のチケットを2枚買って観る”みたいな情緒的なシーンをもう少し丁寧に盛り込んでも良かったかなあと思いました。ちょっと勿体なかったかな・・・(この辺は結構好みの問題)
正直な話、100日間を掛けてワニの死を描くという構造が面白くて流行った作品なんだからそこを受け止めてスピンオフとして「100分後に死ぬワニ」として1から練り直してオリジナル映画作った方が多分ウケたし話題になったんじゃないでしょうか……
というかカメ止めの上田慎一郎が監督やってんだからそっち方面の表現の方が得意でしょ……
あと、構図的にドラゴンクエスト ユア・ストーリーを思い出しました。
前編でしっかり本編をやって、後半でオタクが嫌がることをやってぶち壊す。あれも前編部分はしっかりDQ5をやっていて良い作品だったのにな……